会長コメント

年頭所感

2011/01/01

社団法人 関西経済連合会
会長 下 妻  博


あけましておめでとうございます。

昨年は、各国の景気刺激策と中国をはじめとした新興国の需要に支えられ、世界経済は勢いを取り戻しました。わが国経済も緩やかに回復し、関西も中国・アジア向けの輸出に牽引されプラス成長に転じました。円高やエコポイントの縮小などに伴う反動もありましたが、2011年の経済は新興国への輸出増によりプラス基調が見込まれております。
一方、国内政治についてはさらなる改革が必要です。政策面では財政再建と景気対策の両立をはからねばなりませんが、まだ道半ばです。さらには、新成長戦略の具現化、地方分権の推進、外交機軸の確立など、しっかりと取り組まねばならない課題が積み上がってきています。

中央の政治に手詰まり感が広がるなか、関西は昨年、日本で初めて府県の枠を越えた広域連合を立ち上げました。1955年の地方分権・道州制の提言以来55年。多くの先輩方を含め、関係する皆さま方のご努力に敬意を表します。
関西広域連合は、滋賀・京都・大阪・和歌山・兵庫・鳥取・徳島の2府5県から成る、新しいタイプの広域自治体です。当初は観光、医療など限られた分野からのスタートですが、広域行政のメリットを住民が実感する具体的成果を早くあげ、国から権限・財源の移譲を進めて、大きく成長することを望みます。

関西の基盤整備のための取り組みが、実を結びつつあります。関西国際空港は、首都圏空港と並ぶ2大ハブ空港に位置づけられ、伊丹との経営統合の検討もスタートしました。阪神港は、国際コンテナ戦略港湾に最高得点で選定されるなど、それぞれ新しい展開が始まっています。また、けいはんな学研都市ではエコシティーの推進に向けた実証実験が行われ、大阪駅北地区(北ヤード)では感性と技術を融合し知的価値を創造するナレッジキャピタルの具体化も進んでいます。

世界が沸騰するアジアへの注目度を増しているなか、太平洋を挟んだ米国との関係に加えて、アジアとりわけ中国やASEAN(東南アジア諸国連合)との協力関係を、関西はいかに深めていくかが問われており、アジア太平洋をにらんだ知的な情報基盤の構築を進めていかねばなりません。
関経連は、これまで取り組んできたASEAN経営研修や水インフラプロジェクトなどをベースとしながら、アジア太平洋に対してさらに多角的にアプローチしてまいります。

これらのさまざまな取り組みを、さざれ石が巌となるが如く、育て、有機的に繋ぎ、そして関西の次の飛躍のために大きく展開させていかねばなりません。つまり「創る、繋ぐ、広げる」。繋いで広げていくフェーズでは、関経連の役割も一層増していきます。そして、今年は新しい公益法人へと、また一つ脱皮し、体制・機能を強化してまいります。

関西の新たな発展の基礎をつくるため、会員の皆さまのご意見を頂戴しながら、国ともコミュニケーションを深め、各経済団体・自治体、そして関西広域連合と、より連携を密にして、関西の活性化、関西の発信に努めてまいります。

本年も倍旧のご支援をお願い申し上げます。