会長コメント

年頭所感

2013/01/01

公益社団法人 関西経済連合会
会長 森  詳 介


 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、戦後最大の国難を克服するために歩み始めた一年でした。しかし、政治・経済の混迷とともに被災地の復興は遅れ、エネルギー政策は迷走したままです。またTPP交渉への参加、日中関係の改善といった難題も山積しており、わが国にとって厳しい試練の時が続いています。
 新政権には、力強いリーダーシップの発揮と日本再生に向けた果断な実行を強く求めます。

 関経連では「2020年の関西が『日本の双発エンジンとして日本をリードする』『アジア有数の中核都市圏(ハブ)となる』」というビジョンのもと、昨年は、「関西イノベーション国際戦略総合特区の推進」「震災復興支援」「セキュリティの向上」に重点を置いた活動を展開してきました。全国の国際戦略総合特区トップの26プロジェクトが政府の認定を受けたことをはじめ、被災地の実情に沿った復興支援、国土の強靭化に向けた政策提言など、この1年間で着実に実績を積み重ねましたが、いずれの事業も緒に就いたばかりです。今年も引き続き、この3点を重点事業として活動してまいります。

 一点目の「関西イノベーション国際戦略総合特区の推進」については、まず、各事業において、イノベーションや新産業の創出に向けた道筋をつけなければなりません。各拠点間の地域間連携による相乗効果の発揮も必要であり、関経連では、これまで以上に特区の推進役としての役割を果たします。
 また今春、うめきたⅠ期がまちびらきを迎えます。特区の中核拠点となるナレッジキャピタルに世界中の人材が集まる強い求心力を持たせるために、関経連として最大限の貢献をしてまいります。
 二点目の「震災復興支援」については、復興の進捗に応じた被災地ごとのニーズをくむことが必要です。関経連では昨年、将来の東北を担う経営人材を育成する「関西起業塾」や、東北の組込みシステム関連企業の関西での販路開拓等に取り組み、村井宮城県知事をはじめ地元自治体や企業、住民から多くの感謝の声をいただきました。震災の風化と風評被害という「二つの風」を食い止めるために、率先して被災地に元気を届ける支援を継続いたします。
 三点目の「セキュリティの向上」については、震災から2年近くが経過しましたが、震災直後の危機意識を風化させないことが必要です。関経連では今年も、首都中枢機能バックアップの必要性や国土構造の複眼化について、経団連や西日本経済協議会等と協力して、政府等に対する強い働きかけを進めます。
 そのほかにも、関西・日本の発展を支える高度人材の育成・獲得やエネルギー問題の解決、TPP交渉への早期参加といった課題が目白押しです。関経連では、一つひとつの事業で着実に実行を重ね、日本再生に力強く貢献してまいります。

 昨年は、山中伸弥京都大学教授のノーベル生理学・医学賞受賞や新関西国際空港株式会社の誕生、「阪急うめだ本店」のリニューアル、「中之島フェスティバルタワー」の竣工など、関西にとって明るいニュースもありました。来春には、ビルとして日本一高い「あべのハルカス」がオープンの予定です。
 関経連ではこれらを追い風に、会員のみなさまとともに関西さらには日本経済の成長を先導するために、「実行する関経連」として活動してまいります。

 本年も倍旧のご支援をお願い申し上げます。