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会長コメント

第53回定時総会 森会長挨拶

2015/05/25  第53回定時総会の開会にあたりまして、一言ご挨拶させていただきます。
 一昨年5月に2期目の会長を拝命してからこれまで、みなさまに支えていただきましたおかげで、何とか、この2年間を務めることができました。これまでの多大なご協力に、厚く御礼申し上げます。
 この後の理事会でご承認いただきましてから、3期目に入らせていただきます。みなさまには、引き続きの、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 今年、わが国は戦後70年の節目を迎えます。わが国が敗戦から立ち上がり、新しい歩みを始めてから70年。終戦直後の混乱、GATTの12条国から11条国への移行に伴う本格的な国際競争への突入、高度成長、バブル経済とその崩壊、すぐに思いつくだけでもこれだけの大きな波を経て、わが国は、世界でも屈指の経済大国にまで駆け上がりました。
 関経連が誕生したのは、敗戦から1年あまりが経過した1946年10月のことであります。関経連も来年、創設70周年の節目を迎えますが、関経連のこれまでの歩みは、わが国の発展の歴史とともにありました。
 初代会長であります関桂三さんは、関経連の設立総会において「関西が一丸となって創意と責任感を持って我が国経済の安定・復興を図らねばならない」と宣言されました。
 その後、関経連が、関西国際空港や、けいはんな学研都市といったプロジェクトの推進、日中国交正常化に先駆けた関西財界訪中団、アセアン経営研修、そして分権型道州制をはじめとする様々な政策提言などを通じて、関西とわが国の発展に貢献してきたのは、ご承知の通りです。
 関経連創設時に当時の関会長が宣言された理念が、これまでの諸先輩方のお力によって脈々と今に受け継がれているということが、この70年近くの歩みに表れているのではないかと思います。

 私が会長職を引き継いだ4年前は、東日本大震災から2ヶ月あまりという時期でありました。国のありかたや地域のありかた、そして企業のありかたまでもが、大きく揺れていた時期であったと記憶しています。
 それから4年が経ち、震災からの復興は一歩ずつ着実に進んでおります。ただし、あれだけの被害からの復興には、まだまだ時間が必要なのも現実です。関経連でも、ボランティアや人材育成、企業間のマッチングといった支援に取り組んでまいりましたが、これからも、息の長い支援を続けてまいりたいと思います。
 経済面では、2012年12月の政権交代を機に潮目が変わりました。アベノミクスの金融政策と財政政策が見事に奏功し、株価は今年、15年ぶりに2万円に回復いたしました。企業業績も概ね好調で、この4月から賃金を引き上げたところも多かったようです。かつての「失われた20年」と言われていた頃のことを思えば、随分明るいムードに包まれていると思います。
 ただし、「まだ物足りない」というのが多くの方の実感ではないかと思います。足元の景気は好調でありますが、その足元をよく見てみると、まだ少しぬかるんでいます。顔を上げてみても、視界の先のモヤが完全には晴れていないというのが、わが国経済の実態ではないかと思います。
 わが国は、震災からの復興以外にも、人口減少や巨額の財政赤字といった構造的な課題を抱えております。近年では、「日本病」という不名誉な言葉が世界で使われるようになりました。
 さらに、これはこのところのアジアインフラ投資銀行にかかわる議論に象徴されていると思いますが、現在、世界の秩序が大きく揺らいでいます。世界が東西の両陣営に分かれていた頃よりも、米国が唯一の超大国であった頃よりも、世界は、より複雑になろうとしています。
 こうした国の内外の課題や変化にも順応できる新しい発展の道を確立して初めて、日本経済の再生が成ったと言えるのだと思います。
 これからわが国は、ぬかるんでいる足元をしっかりと固め、視界の先に立ちこめているモヤを振り払って、次の一歩を力強く踏み出していかなければなりません。そしてそのための大きな鍵となるのが、地方創生であると思っております。
 東京一極集中から脱却して全ての地域が世界に対して輝きを放つこと。これこそが、わが国がこれから進むべき道であると確信しております。その上で、日本第二の経済圏である関西が、全ての地域に先駆けて自らの「創生」を実現し、わが国経済の再生を牽引しなければならないと考えております。
 これから2年間、微力ながら関西の「創生」に全力を尽くしてまいる所存です。会員のみなさまにおかれましても、引き続きの、ご理解、ご協力を賜りますようお願いいたします。

 関経連では、2020年時点の「関西のありたき姿」といたしまして、アジアでも有数の多様性や活力に満ち、最先端の技術や創造力で世界をリードし、そしてわが国の変革を先導する地域でありたいというビジョンを掲げております。
 関経連では、この「ありたき姿」の実現を通じて、関西の「創生」に貢献したいと考えております。2012年度からは、2020年度までの期間を3年ごとに区切り、それぞれの期間において設定する中期目標に沿って、段階的に「ありたき姿」に近づけていくこととしております。
 その上で、昨年度までの第1期中期目標期間では、主に「ありたき姿」を目指すための基盤づくりを進めてまいりました。
 まず「イノベーション促進」につきましては、関西イノベーション国際戦略総合特区や国家戦略特区が順調に進捗しております。関西の念願でありましたPMDA関西支部の開設も実現いたしました。
 また、関西が最も注力すべきは健康・医療産業であるというコンセンサスも得られましたので、今年の財界セミナーでは「生き活き・関西ビジョン」を取りまとめ、創薬から街づくりまで、産官学が一体で取り組むべきアクションを提示しました。先般の日本医学会総会では、各界の広範な協力を訴えたところであります。
 この3年間で、健康・医療産業を中心に関西のイノベーション基盤を固め、関西として進むべき方向性をしっかり示すことができました。あとは実行あるのみと考えております。
 国土強靭化につきましては、政府の国土強靭化基本計画に、関経連の主張であります「東京一極集中からの脱却」が明記され、国民の理解も随分進んだように思います。
 今年度に予定されております国土形成計画や広域地方計画の改定に向けた、関西の将来像の意見の取りまとめも進めました。これから1年をかけて、関経連の主張をしっかり計画に反映したいと思います。
 リニア中央新幹線の全線同時開業につきましては、大阪府市と立ち上げました協議会におきまして整備スキーム案を取りまとめ、現在は、政府、JR東海との協議の場の設置を目指しているところであります。残された時間はわずかでありますが、何としても全線同時開業の道筋をつけたいと思います。
 インバウンド推進につきましては、今年2月、「関西広域観光戦略」を策定いたしました。2020年の東京オリンピックや2021年の関西ワールドマスターズゲームズに向けた数値目標や、その達成に向けたロードマップを取りまとめたものであり、すでに戦略に沿った活動を始めております。最近は中国人観光客の「爆買い」などが話題となっておりますが、これを円安による一過性のものに終わらせないよう、気を引き締めて活動したいと思います。

 今年度からスタートする第2期中期目標では、第1期の活動を通じて築いた基盤の上に立って、より実践的な活動を展開してまいります。また、第1期において、関西としてやるべきこと、目指すべきところも、より浮き彫りになったと思いますので、そういう点でも、これからの3年間は、これまで以上に成果を意識した活動へとステップアップしたいと考えております。
 一方、政府の方ではこれから、国家戦略特区の活用や東京オリンピックに向けたインバウンド政策が加速すると考えられます。そして何より、安倍政権の地方創生に向けた取り組みが本格化いたします。
 関経連では、こうした政府の政策ともしっかりと歩調をあわせて、次の3年間、関西を「ありたき姿」にぐっと近づけるための活動を展開してまいります。
 第2期の初年度となる今年度は、主に17の事業を展開することとしております。重点事業は、「複眼型スーパー・メガリージョン」、「広域交通・物流ネットワーク」、「健康・医療産業」、「関西広域観光戦略」の4つといたしました。
 詳細は事務局からの説明に譲ることといたしますが、私からは、これまで以上に成果を意識して、より実践的な活動へステップアップすることを、重ねて宣言させていただきたいと思います。
 また、これは重点事業ではありませんが、安全が確認された原子力発電所の再稼働も、引き続き、強く訴えてまいります。
 先月、高浜3・4号機につきまして、福井地裁が運転差し止めの仮処分を決定いたしましたが、関西電力といたしましても到底承服できるものではありません。関西電力では現在、仮処分に対する異議申し立てをしているところであります。低廉な電力の安定供給のためには、できるだけ早く仮処分命令を取り消していただく必要がありますので、そのために、全力を尽くしてまいります。
 みなさまにおかれましても、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりますが、今から4年前、下妻さんから会長職を引き継いだ時の総会でみなさまに、「関経連の原点に立ち返りたい」というお話しをさせていただきました。そして、これから3期目に入らせていただこうという今、改めて、その思いを強くしているところであります。
 これから2年間、冒頭にご紹介いたしました「関西が一丸となって創意と責任感を持ってわが国経済の安定・復興を図らねばならない」という関桂三さんの宣言を胸に刻んで、事務局ともども全力を尽くしてまいる所存です。
 みなさまにおかれましても、引き続きのご理解、ご協力を賜りますことを重ねてお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。
 これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

以  上