会長コメント
第57回定時総会 松本会長挨拶
2019/05/27会長 松 本 正 義
松本でございます。本日は皆様ご多用のところ、ご出席を賜りまして誠にありがとうございます。第57回定時総会の開会にあたり、ご挨拶をさせていただきます。
一昨年の5月に関経連会長を拝命し、皆様にお支えいただき、無事1期2年を務めることができました。これまでの多大なるご支援に厚く御礼を申し上げますとともに、引き続きのご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
さて、この2年間を振り返ってみますと、まずあげられますのは何と言いましても2025大阪・関西万博の誘致決定であります。勝ち取ったことは勿論ですが、誘致という一つの目標に取り組み、関西としての一体感が強まったことが、大きな成果であると感じております。改めて、多大なるご支援を頂いたことに感謝申し上げます。
世界に目を転じますと、少なからぬ国においてポピュリズムが台頭したほか、米中貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱問題による混乱など、目の離せない展開が続きました。
また、日本では大きな災害が相次ぎ、ここ関西でも大阪府北部地震、台風21号などにより大きな被害を受けました。
このような様々な波乱要素のなか、成長を続けてきた世界経済、そして日本経済ではありますが、ここへきて、中国経済の減速、米国による対中関税引き上げなどを受け、変調を来しているのではないかとの懸念を持ち始めております。
一方で、就任時より私が問題意識として持っていることがございます。それは、わが国経済の中で、関西の占めるウエイトが、相対的に低下してきているということであります。
日本のGDPに占める関西のGRPの割合をみてみますと、70年大阪万博の頃には約20%であったものが、ご承知のように残念ながら近年は約16%となってしまっております。
このような問題意識のもとで、関西経済を成長させていく視点として、「Look West」と「グローバルな視点での舞台としての関西」を打ち出し、2018年度から2020年度までにわたる3ヵ年の「第3期中期計画」を、2018年1月に策定いたしました。
関西では、来月に開催されるG20を始め、ゴールデン・スポーツイヤーズ、期待されるIRの開業、そして大阪・関西万博と、発展の起爆剤となる材料が目白押しであり、これらは中期計画の実現に向けて大きな追い風であると感じております。
2018年度は、この「第3期中期計画」の初年度でありました。
「グローバル/アジア」、「文化/観光」、「産業イノベーション」、「地方創生」、「スポーツ」という柱となる5つの事業、そして、「インフラ」及び「ビジネス基盤」というベースとなる2つの事業について、今後の成長に向けた基礎固めを着実に実行した年、いわば花壇を整備した年であったと思っております。
今年度は、令和という新しい時代の幕開けにもあたっておりますが、関経連としてはこれまで築いた基礎の上に、具体的な取り組みを実行していく年になります。
各事業の詳細な取り組み内容につきましては、のちほど事務局よりご説明いたしますが、私からはそれぞれの事業に対する「想い」を皆様にお伝えしたいと思います。
まず「グローバル/アジア」についてであります。会長を拝命した時から、アジア、特にASEANとの双方向で具体的なビジネス創出に役立ててもらえる場をいかに創るかということを考えてまいりました。
昨年ASEAN各国の経済団体トップに私が直接お会いして、問題意識を伝えたところ、みなさまより快諾をいただき、今年の4月に桜満開の大阪にて「アジア・ビジネス創出プラットフォ-ム」、通称、「ABCプラットフォーム」の設立総会を開催することができました。
参加いただいた各国のトップからは、今後のプラットフォーム発展への力強いコメントを頂戴しまして、大変勇気づけられたところであります。
このプラットフォームの発展には、会員企業の皆様から案件を持ち込んで頂き、活用していただくことが重要であり、引き続いてのご支援を強くお願いいたします。
次に「文化/観光」についてであります。幸い、関西は京都・大阪・奈良という世界的にも歴史と文化を誇る観光地に恵まれており、各国から訪れられた多くの方でにぎわっております。
一方、今後の関西の発展を考えますと、関西広域の視点に立った観光資源の発掘と、これまで十分でなかった欧米の方々への訴求等、課題もございます。
関西観光本部が設立されて以来2年が経過いたしましたが、これまでにグランドデザインを策定し、これに基づく行動計画を作成いたしました。先に述べたような課題に取り組むための、一定の基盤は形成されていると認識しております。
今年度はいよいよ具体的な事業を展開していくことにより、関係する関西の方々に大いに役立てていただく観光本部に発展することが求められております。
また、関経連としてはIRの関西への誘致をはじめ、魅力的なまちづくりを推進すべく、関係機関などへの働きかけも行ってまいります。
次に、「産業イノベーション」であります。AI・IoT・ビッグデータなど、新たな技術の潮流のなかで、関西において将来の発展を担う産業クラスターの芽を形成すべく、航空機など、重点4分野の取り組みを進めてまいりました。
大阪・関西万博の開催に向け、産業・技術という観点から、どのような発信をしていくべきかの検討を進めながら、これらの取り組みを加速してまいります。
また、関西が新たな事業に挑戦する方にとって魅力ある舞台として認知されることも重要であると考えており、今年度につきましては、関西でのベンチャー・エコシステム形成に向けた取組みを加速させるとともに、「けいはんな」などイノベーション拠点機能の強化をはかります。
次に「地方創生」であります。少子高齢化・人口減少などが進み、地域経済の縮小が進展するなかで、日本が持続的に成長するためには、成長の核が複数存在する「繁栄の多極化」が必須であり、関経連としては地方分権・広域行政・道州制の必要性について訴え続けてまいりました。
残念ながら昨今、地方分権の議論は下火になっている状況にあります。そこで昨年度は、この議論への関心を喚起すべく、10年ぶりに意見書をとりまとめました。
地方分権改革を進めるには、継続して訴えていくことが重要であると考えており、今年度も関西広域連合との連携・協力を深化させ、それをテコとしながら分権論議を巻き起こすべく、粘り強く取り組んでまいります。
そして「スポーツ」であります。今年からいよいよゴールデン・スポーツイヤーズが始まります。
この好機を活かしつつ、「関西をスポーツで元気にする」との想いを持ち、昨年7月に「関西スポーツ振興ビジョン」を策定し、「生涯スポーツの振興」、「トップアスリートの育成」、「スポーツイベントの招致」そして「スポーツ産業の振興」という4つの柱を打ち出しました。
また、このビジョンを具体化するために、昨年12月にはスポーツ関係団体・大学などと「関西スポーツ振興推進協議会」を設立いたしました。
関西が、スポーツを通じた健康で健やかな暮らしができる地域となると共に、スポーツを通じた経済活性化の先進地域となるべく、関西広域連合と協力しながら、官民一体となって具体的取り組みを推進してまいります。
ここまでが中期計画で「花びら」で表した5つの事業であります。続いて、ベースとなる2つの事業であります。
まず「インフラ」でありますが、昨年度は、交通物流インフラの早期整備に向けた働きかけを行いました。
また、約8年ぶりとなる関西3空港懇談会を開催し、3空港の最適活用に向けたブレークスルーとしての具体的な一歩を踏み出すことができました。
今年度は、これらの活動に加え、昨年度頻発した自然災害を踏まえ、企業や地方・国の災害への対応力強化を推進するための意見発信などを行ってまいります。
最後に「ビジネス基盤」についてであります。関経連では、昨年度コーポレートガバナンスや独占禁止法などをテーマに、企業・経済活動の環境整備に向け、独自の視点から思い切った政策提言を行いました。
エッジのきいた提言を関西経済界から発信し、我が国における政策議論へ影響を及ぼすことが重要と思っており、今年度は、アカデミア・他地域の経済団体などとの連携を強めながら関経連の主張の輪を広げてまいります。
以上、第3期中期計画の各事業に対する私の想いを紹介いたしました。
今年度は、昨年度固めた基礎の上に、いよいよ具体的に、成果を出していく年となります。そのためには多くの難題を乗り越えていかなければならないでしょう。
しかし、会員の皆様とともに意見を出しあい、「ONE 関西」で取り組めば、必ずや大きな花を咲かせることができると信じております。
この先の時代を輝かしいものとすべく、われわれが一丸となって、関西のために、共に歩みを進めていこうではありませんか。
最後になりましたが、みなさまの力強いご協力に、改めて心から感謝を申し上げるとともに、今後ますますのご支援をお願いいたしまして、私の開会挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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