会長コメント

年頭所感

2021/01/01
公益社団法人関西経済連合会
会長  松 本 正 義



   

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大が内外問わず社会・経済に甚大な打撃を与えた一年でありました。コロナ禍のなかにあっても内外情勢は常に変動しており、1月のBrexit、米中対立の深刻化、11月の米国大統領選挙と、国際情勢は大きく変化してまいりました。一方で、自国優先主義の広がりが懸念されるなかにあって、自由貿易への一歩となる東アジア地域包括的経済連携 (RCEP)の署名など明るい話題もありました。

 関西経済を振り返りますと、業種を問わず深刻な打撃を受けました。いまだ感染者数は増加しており、影響を受けている事業者もまだまだ多く、全体としては回復が遅れていると言わざるを得ない状況となっています。

 コロナ禍により、デジタル化の遅れや首都圏への過度な集中がもたらす脆弱性など、わが国が抱えるさまざまな課題も明らかとなりました。菅政権のもとでのデジタル庁創設準備に象徴されるように、官民をあげて課題への取り組みが加速されています。昨年は、コロナ禍を契機に新しい変革への歩みを始めた年としても記憶されることとなるでしょう。

 関経連は、こうした前例のない事態に対し、経済団体としてどのような活動を展開すべきか、常に自問自答しながら一歩一歩取り組みを進めてまいりました。5月・6月と2度にわたり政府への要望を行うとともに、「関西・新型コロナウイルス医療体制支援基金」を設け、会員の皆さまに協力をお願いいたしました。厳しい経済情勢のなか、お寄せいただいたご支援に心から感謝いたします。

 本年は、昨年12月に12年ぶりに策定した長期ビジョン「関西ビジョン2030」を始動させる年となります。このビジョンがめざすところは、2025年大阪・関西万博を飛躍へのステップとしながら、SDGsの目標年度でもある2030年に向けて関西を新たな発展軌道に乗せていくことです。このビジョンを成し遂げられるかどうかが、コロナ禍の先、さらにはこの先数十年の関西の将来を左右する分水嶺となりましょう。

 ビジョン全体を貫くコンセプトとして掲げたのは「先駆ける関西、ファーストペンギンの心意気」です。ファーストペンギンとは、集団で行動する群れの中から天敵がいるかもしれない海へ最初に飛び込むペンギンになぞらえ、先駆けて新たな取り組みを率先して行う精神の持ち主のことを指します。このコンセプトに基づき、めざすべき「関西のありたき姿」として、「オープンで独創的な価値を生む経済」「ヒトを惹きつける舞台」「新たな社会モデルのトップランナー」を、さらにその実現に向け関経連として取り組むべき方向性を「7本の矢」として示しています。

 「関西ビジョン2030」をこの「7本の矢」を中心に具体化していくこと、さらには4年後に迫る大阪・関西万博への準備に向け政府および博覧会協会を全力で支援していくこと、これらを本年の関経連の活動の大きなテーマとして力を入れてまいります。

 新たなビジョンのもと、企業やヒトが域外からも集まり、だれもが関西を舞台に挑戦できる地域となることをめざして、関西広域で連携し、皆さまと共に一歩を踏み出してまいりたいと考えております。コロナ禍の厳しい状況下にあっても、将来を見据えたさまざまな取り組みの手を緩めず、ファーストペンギンの心意気を発揮して、関西自らが先駆けとなって社会経済の新たな姿を体現していこうではありませんか。

 皆さまの倍旧のご支援をお願い申し上げます。

以  上