会長コメント

年頭所感

2023/01/01
公益社団法人関西経済連合会
会長  松 本 正 義



   

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルス感染症による供給網の混乱が尾を引くとともに、ロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー・食料などの価格上昇、各国金融政策の転換と大幅な為替変動がみられた上、各地での地政学的リスクの高まりから経済安全保障への対応の必要性が意識された一年となりました。

 国内では、DX・GXの推進、人への投資の重要性が強調され、岸田政権による「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」が発表されました。また、コロナ感染の山が繰り返し訪れたのち、ウィズコロナの社会経済活動への移行の動きがはっきりとしたものとなりました。

 関経連では、「第1期中期計画」の初年度にあたる昨年、「関西ビジョン2030」の実現に向けた具体策を軌道に乗せるための取り組みを進めました。本年は、これらを具体的成果に結びつけるべく、全力をあげてまいります。

 中期計画において当会の活動の底流をなす事業として掲げた2事業のうち、「地方分権・広域行政」については、昨年公表した「都道府県域を越える広域自治体行政の強化についての提言」を実現すべく、関西広域連合と連携して取り組みを進めます。また、「三方よし・民の力」については、四半期開示の義務付け廃止に向けた働きかけを継続するとともに、マルチステークホルダー主義に基づく企業経営を広げるべく意見発信を行ってまいります。

 中期計画で新規に重点事業とした3事業についても具体的成果をめざした取り組みを進めます。まず「イノベーションエコシステム」では、昨年始動させた「あっちこっち関西・イノベーションプロジェクト」により各地におけるイノベーション創出の取り組みを加速し、「DX」については昨年末に公表した「関西DX戦略2025」に基づき関西が一体となったDXの実践に取り組みます。そして「雇用労働・D&I」では、中間層の活力向上を念頭に、物価動向も考慮した賃上げの前向きな取り組みを呼びかけるとともに、多様な人材が力を最大限発揮できる環境の整備にも注力します。

 また、継続重点事業である5事業のうち、「グローバル・アジア」に関しては、アジア・ビジネス創出プラットフォーム(ABCプラットフォーム)を軸にアジア各国との連携強化をはかります。「産業プラットフォーム」については、関西広域連合内に昨年設置された「関西広域産業共創プラットフォーム」の活動を最大限支援し、「環境エネルギー・GX」に関しては持続的な経済成長と環境の両立をめざした意見発信を行います。「都市・観光・文化」では、関西観光本部や京都への本格移転が目前に迫った文化庁などと連携した取り組みを推進し、「スポーツ」については、関西におけるスポーツ振興方策の充実をはかります。

 さらに、ベースとなる2事業の一つ「経済財政」に関しては、独立財政機関の設置を働きかけるとともに税や社会保障のあり方に関する検討・提言を行い、「国土・インフラ」では、関西3空港や北陸新幹線・リニア中央新幹線、高速道路など広域ネットワークの整備・強化に向けた取り組みを継続してまいります。

 「2025年大阪・関西万博」については、政府・博覧会協会等と連携して、諸準備や機運醸成を進めるほか、レガシーのあり方についての検討を行います。

 本年は、開催まで2年あまりとなった大阪・関西万博の成功とその後の関西経済の発展に向け、われわれの覚悟が問われる一年となります。さまざまな課題を克服して明るい未来を実現すべく、「ONE関西」となり総力を結集してまいりましょう。

 皆さまの倍旧のご支援をお願い申し上げます。

以  上