時代の転換期に産業構造を巧みに転換させてきた関西。オリジナリティや先駆けた取り組みを評価する文化が、生活スタイルなどを変革する新たな製品・サービスを多数生み出してきている。
明治時代には関西域外から来た多くの実業家が関西を舞台に活躍。関西は門戸を開いて多くのヒトを受入れるとともに、努力を伴う失敗を糧にする精神のもと挑戦を尊重してきた。
近江商人の「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」の精神は、多くの関西企業の文化として脈々と受け継がれている根底にある考え方。世界的に普及しているSDGsやESG投資の考え方と合致することも多い。街中には民の力によって建設された社会・文化・病院・教育施設等が数多く身近に存在する。
世界的にも先端的な研究を行う大学が集積。ノーベル賞受賞者の6割は関西出身・大学などで学んだ経歴がある。再生医療など新たな物事へ取り組む風土がある。産学による共同研究の割合は全国平均以上。
大阪が世界で最も住みやすい都市第4位(英雑誌 Economist)となった他、神戸や京都も生活環境の高さなどが評価されている。余暇なども含めた生活の質(QoL)は高い。
長い歴史に基づく伝統、伝統が生み出す文化を有する関西は、日本のみならず世界の中でも唯一無二の存在。街中から海や山など自然環境も近く、瀬戸内海や高野山など世界から注目を集める独自の魅力を有する。
交通手段が馬の時代に線引きされた府県域。現在は経済圏は府県を越え、往来も非常に活発である。 各地域間が切磋琢磨する「競争」も重要であるが、それぞれの強みを活かす・磨き上げる・ブランドとして確立するにあたっての「共創」に改善の余地あり。非常事態の対応や産業振興など、広域による全体最適の視点にたった取り組みの進展が不可欠である。 当会が設立に深く携わった関西広域連合の存在によって他地域に先駆けて広域行政が進展しているものの設立時の期待に見合った成果を生み出しているとは言い難く、さらなるポテンシャルの発揮が期待される。
関西には、特色ある都市が存在し多彩な魅力を発揮してはいるものの、「関西という地域」として世界をは じめアジア各国から認知され、国内外から企業や人を惹きつけるだけのブランド力が十分に備わっているとは 言い難く、関西全体としての認知度を国内外に高めていく必要がある
デジタル技術が社会・経済のあり方などに大変革をもたらせている。その中で、デジタル競争力ランキングは世界63カ国中23位と後塵に拝している(IMD世界競争力センター)。日本の中でも関西はデジタルシフトに先駆けて取り組むことができているとは言えず、改善の余地は大きい。
世界的に女性が活躍する環境が遅れている日本であるが、その中でも都道府県別女性の就業率ワースト3位は奈良・兵庫・大阪となっている。正規雇用率も全国の中でも低い。多様で柔軟な働き方・仕事と家庭を両立する環境整備などに包括的に取り組むことで飛躍できるポテンシャルは大いにある。