世界全体の現状と課題
毎年、世界経済フォーラムは4つの主要な側面(経済、政治、教育、健康)からジェンダー平等の現状と格差の度合いを示す「ジェンダーギャップ指数」を発表している。今回は、6月21日に世界経済フォーラムが発表した2023年度ジェンダーギャップ指数に基づき、世界的に見た日本の女性活躍の現状について紹介する。
報告書は2006年より公表され、ジェンダー平等の達成度を指数にして、各国の男女格差の現状を評価している。指数は、1が男女の完全平等、0が完全不平等となり、数値が低ければ低いほど男女の格差があることを示している。
2023年の世界全体のジェンダーギャップ指数は0.684と、前年と比較可能な145カ国の中で0.003ポイント改善した。2006年から2023年まで継続的に対象となった102 カ国では、2006 年の報告書初版から0.041ポイント改善が進んでいるものの、現在の改善の速度では、男女が完全に同等になるまでに131年かかるとされている。
国別にみると、アイスランドが14年連続で1位となり、指数は0.912と146カ国中で唯一0.9以上を達成している。2位以降はノルウェー、フィンランド、ニュージーランド、スウェーデンと北欧が上位を占める一方で、最下位はアフガニスタン、指数は0.405となっている。
報告書は、労働市場での男女平等の実現をめぐり、労働参加率や失業率といった面で格差が残っていることが世界的に見ても課題であり、特に、将来的に収入や重要性が高まると予想されるSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)分野における女性の割合が少なく存在感が薄いことを指摘している。また、「教育」分野における格差が改善され、117カ国において指数が0.95以上であるのに対し、「経済」分野の指数は世界全体で見ても0.601、「政治参画」の指数はわずか0.221と低い値になっており、格差は解消されていない。
日本の置かれる状況とスコア
日本のジェンダーギャップ指数は2022年0.650、2023年0.647と横ばいの状況が続いているものの、順位は146カ国中125位となり、昨年の116位から後退し、過去最低の結果となった。
4つの分野別に見ると、教育と健康の分野では146か国の平均を上回っているのに対し、政治と経済では平均よりも低く、政治が138位、経済が123位と改善の遅れが目立つ。政治分野の指数の低さは衆議院の女性議員比率が1割にとどまり、過去に女性首相がひとりもいないことが要因と思われる。また、経済分野における指数は、特に女性管理職比率の低さが目立っている。
日本では、これまで、1985年制定の男女雇用機会均等法、2015年制定の女性活躍推進法による一般事業主行動計画の策定・届出、最近では、男女の賃金差の情報公開の義務化など、性差によって生まれる不平や格差を解消し、男女平等の実現に向けた取り組みが進められてきた。一方で、世界各国の取り組みのスピードが増しており、ジェンダーギャップ指数は世界的にみて下位が定位置となっている。今後さらにスピード感を持ってダイバーシティ推進の取り組みを進め、企業や政治の意思決定の場に女性を増やすことで、性差によって生まれる不平等や格差を減らす社会構造に変えていく必要がある。
※本稿は、「Global Gender Gap Report 2023」に基づき作成しております。
全文について、詳細はGlobal Gender Gap Report 2023をご確認ください。
https://jp.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2023/