2024年6月11日、政府は女性活躍・男女共同参画の取り組みを加速するために、「女性版骨太の方針2024(女性活躍・男女共同参画の重点方針2024)」を決定しましたので、そのポイントをご紹介します。
Ⅰ 企業等における女性活躍の一層の推進 ~活躍する女性人材と企業等で取組を推進する人材の育成~
プライム市場上場企業の女性役員に係る「2030年までに30%以上/2025年までに19%」「2025年までに女性役員ゼロ企業を0%」との目標達成に向けて、取組が進んでいない企業に対する支援強化が必要。
⇒ 女性人材の採用・育成・登用の強化、経営層・管理職など女性登用を推進する人材の意識醸成が鍵。
企業における女性の採用・育成・登用の強化
- 女性役員登用目標の達成に向けた各企業の行動計画策定の促進、役員候補となる女性人材のパイプライン構築、女性登用の意義や必要性についての企業における理解の浸透を図る。
- 女性活躍や子育て支援に積極的に取り組む企業を支援する。
科学技術・学術分野における女性活躍の推進
- 理工系分野を目指す女子生徒等の育成に向けて、各地域の大学・高専で理工系の魅力を発信する機会の増加を図る。
- プログラミングに関する教育の充実を図る。
女性起業家の支援
- 起業家ネットワークへのアクセスが限定的、資金調達が難しいなどの課題を抱える女性起業家を支援する。
Ⅱ 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進 ~全国各地の女性が経済的に自立するための力の育成とこれを支える人材の育成~
地域における取組を推進し、全国各地における女性活躍・男女共同参画の促進が必要。
⇒ 地域の取組の担い手の育成・専門性の向上や、リーダー層の意識醸成が鍵。
所得向上、リスキリングの推進
- 出産を契機に多くの女性が有期・短時間・派遣などの雇用形態になる、いわゆる「L字カーブ」の解消に向けて、正規雇用の女性の就業継続を支援するとともに、初職から有期・短時間・派遣などの雇用形態で働く女性や、過去に妊娠等を契機に有期・短時間・派遣などの雇用形態となった女性を正社員転換するための取組を進める。
- 就労に直結するデジタルスキルの習得支援・デジタル分野への就労支援を推進する。
- 男女間賃金差異の公表・分析を一層推進する。男女間賃金格差の大きい業界に着目した取組を進める。
- いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことを可能にする。
仕事と育児・介護の両立の支援
- 柔軟な働き方の推進や男性の育児休業取得の促進等により、男女問わず育児・介護とキャリア形成との両立を図るとともに、女性への育児負担の偏りを解消する。
仕事と健康課題の両立の支援
- 働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性の活躍を支援する。
地域における女性活躍・男女共同参画の推進
- 地域の企業における女性活躍を推進し、その担い手を育成する。
- 地方公共団体における取組の推進の鍵となる地域リーダーの意識醸成・育成を推進する。
- 各地域において、人々の中にある固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消と、企業等の広報担当や人事・業務管理に携わる管理職、さらには経営層の意識改革と理解の促進を図り、性別役割分担にとらわれない働き方を推進する。
Ⅲ 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現 ~男女共同参画の視点に立った防災・復興、配偶者暴力や性犯罪・性暴力の被害者等を支える人材の育成~
能登半島地震における対応状況の調査・検証を始めとする男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進、女性・平和・安全保障(WPS)の取組強化、配偶者暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化、女性のライフステージごとの健康課題への対応など、個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現に向けた取組の強化が必要。
⇒ 現場における女性の参画拡大、相談支援体制の強化が鍵。
男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進
- 能登半島地震における災害対応を検証し、今後の対応に活用する。
- 防災の現場等における女性の参画拡大とこれを推進するリーダー層の意識醸成、国民への啓発を推進する。
配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化
- 改正配偶者暴力防止法や女性支援新法等の関係法律の施行状況等も踏まえ、配偶者等からの暴力の防止、被害者の保護及び支援、相談体制の整備及び周知等の一層の強化を図る。
- 「相手の同意のない性的な行為は性暴力」であること等の認識を社会全体で共有し、性犯罪・性暴力の根絶のための取組や被害者支援を強化する。
困難な問題を抱える女性への支援
- 2024年4月に施行された女性支援新法に基づき、困難な問題を抱える女性一人ひとりのニーズに応じて、包括的な支援を実施する。
生涯にわたる健康への支援
Ⅳ 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化 ~あらゆる分野の政策・方針決定過程に参画する女性人材の育成~
あらゆる分野の政策・事業の計画等において男女別の影響やニーズの違いを踏まえることが必要。
⇒ あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画が鍵。
男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進
- あらゆる分野の政策・事業の計画等において、男女別の影響やニーズの違いを踏まえた検討・立案を行う。その前提として、男女の性差を考慮するとともに、関連するデータの男女別の把握に取り組む
- あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画を促進する。
政治・行政分野における男女共同参画の推進
- 女性の政治参画への障壁について、より実態に即した把握に資するよう、政治に参画する上での課題等についてより詳細な調査を行い、その結果に基づき周知・啓発を行う。
- 地方議会における女性の政治参画に資する先進的な取組事例を横展開する。(再掲)
- 各府省において、各役職段階に占める女性の割合に関する数値目標を定める。目標や取組内容、実施状況については、各府省において公務員を志望する女性等に分かりやすい形で公表する。
※本稿は、「女性版骨太の方針2024」概要資料に基づき作成しております。
全文について、詳細は内閣府男女共同参画局HPをご確認ください。
■お問い合わせ先:内閣府男女共同参画局 03-5253-2111