7月28日(金)、女性のエンパワーメント交流会を開催、会員企業から女性の役員や部長など37名が参加した。交流会では、寺田千代乃 アートグループホールディングス社長を迎え、「これまでどのように人生を運んできたか」と題した講演を実施した後、柿原アツ子 関経連D&I専門委員長のファシリテートのもと、質疑応答・意見交換が行われた。
寺田氏は、社章やユニフォームを身につけた社員の様子から会社そのものが評価されるため、社員一人ひとりが会社の顔であることを肝に銘じて取り組むことや、知識・友人・健康の“貯蓄”を心がけ、特に知識の貯蓄においては勉強するだけではなく、絵画や音楽を鑑賞したり人の話を聞いたりと、目や耳を肥やすよう社員に伝えていると語った。
また、社名変更の経験から、「良くないことはすぐに変えないといけない。会社の基本である社風を変えることなど以外は、会社を守るための変化であればちゅうちょしない」と述べた。
【講演要旨】
「これまでどのように人生を運んできたか」
アートグループホールディングスでは、世の中の変化で必要なもの、あったらいいな、というものをとりあえず始め、上手くいかなければ引っ込める形で様々なことに取り組んできた。ただ、どれほど多くのメニューを作っても、それを取り扱うのは「人」であり、社員がその商品をきちんとお客様に提供できるかが一番重要である。そこで、あったらいいなというメニューとともに、それにふさわしい従業員のサービスの提供を目指している。また、会社において、頑張っている従業員には報いることを基本としているほか、社員同士のつながりを大切にしており、社内イベントもたくさん実施してきた。代々続いている行事もあり、会社のDNAとして定着している。世の中の変化に合わせて対応する一方で、このような社風や会社のDNAは、変えずに大事にしたいと思っている。
アート引越センターからアートコーポレーションへの社名の変更は、お客様にそれほどまで大きく影響するとは思っていなかった。しかし、営業に同行した際、顧客から「アートコーポレーション」とは「アート引越センター」なのか、との声があり、そこでお客様目線になれておらず失敗したことに気づいた。その時、2年かけてCMや会社表記を「アート引越センター」に戻した。このような経験からも、良くないことはすぐに変えないといけないと考えている。
【質疑応答・意見交換】
- 会社全員のやる気を引き出す秘訣があればお聞きしたい。
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基本的には社員との約束は、それがたとえ小さい約束であっても守っており、そこから生まれる信頼感はあると思う。また、社員達が苦労した分はリターンしており、売り上げを達成するためのサポートとして、必要なときは営業同行や生産現場に飛び込んでお客様との対話などを行ってきた。現場を回ることで、社長が自分たちの仕事を見てくれていると感じていることもよかったのかもしれない。
- これまで決断したことを取りやめたり、新しい事業に参入したりなど決断の連続だったと思うが、決断する時によりどころになることや、ルールがあれば教えてほしい。
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やってみたいという夢がないと事業はうまくいかない。人のためになり、喜んでもらえるような事業で、さらに自分がこれをやってみたいという思いで決めていかなければならない。また、決断することについては、基本的に会社の社風を変える等の受け入れられないこと以外は会社を守ると思えばちゅうちょしない。
- ブランディングが重要だと思われた根幹は何か。
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社名は、「あ」から始め、電話帳の一番の前に載せたいというので「アート引越センター」に決まり、「0123」という番号もダイヤルをすぐに回してもらえて、上り番号がいい等の理由で決めた。今思えば必要に迫られて決めたことが結果的にブランディングにつながっていたと思う。