3月28日(木)、女性のエンパワーメント交流会を開催、会員企業から女性の役員や部長など約45名が参加した。堀場厚 堀場製作所代表取締役会長兼グループCEOを迎え、「おもしろおかしく~変化の時代のリーダーへの期待~」と題した講演の後、松久藤子 D&I専門委員会副委員長のファシリテートのもと、質疑応答・意見交換を行った。
堀場氏は、「仕事や勉強だけでは学べないことがある」とした上で、自身の趣味である飛行機とヨットの操縦から、「本質を見極めることや、向かい風のときにどのように対応するかで差が出ることを学んだ」と語った。また、「経営で一番大事なことは、タイミングとスピード、そして継続。すぐには結果が出なくとも、“ほんまもん(必要なこと)”だと思う事業に継続して投資することが重要である」と述べた。
【講演要旨】
「おもしろおかしく~変化の時代のリーダーへの期待~」
大学卒業後、堀場製作所に入社し、直後にアメリカの法人へ出向。働きながら再度勉強しようとアメリカの大学・大学院で電気工学を学んだ。その授業は宿題やテストが多く、アパートの寝室の天井の模様をみながら入学したことを後悔した一方で、壁を越えてからは多くの良い経験もした。飛行機のライセンス取得を目指して訓練をしていた時、天候不順で飛行機のガソリンが無くなりそうになり、管制官からの指示通りにはせず、自分の判断で飛行機を着陸させた。その後、インストラクターへ謝罪をしに行くと「おめでとう。」と言われた。パイロットにとって「飛行機を墜落させないこと」が一番大切であり、今回の体験で、失敗の経験を生かした一人前のパイロットとなった、ということで、そうした発言があった。日本ではなかなか無いスピリットであり、物事の本質を自ら見極める重要性を学んだ。同じく趣味のヨットの操縦では、向かい風の際にどのように対応するかで差が出ることを学んだ。これらの経験から、仕事や勉強だけでは学べないことがある、と考えている。
堀場製作所では、「おもしろおかしく」を社是に掲げている。1978年の制定当初は、「もっと真面目な社是に」との批判もあった。しかし、何事も「おもしろおかしく」取り組まなければ、独創的な発想は生まれない。仕事のための仕事ではなく、自分の想いで働くことがイノベーションを生む。また、経営で一番大切なことは、タイミングとスピード、そして継続である。すぐには結果が出なくとも、「ほんまもん」だと思う事業に継続して投資することが重要である。景気が悪い時も、回復した時にはものづくりがきちんと出来るよう、設備投資を続けた。また、弊社ではM&Aを実施しているが、HORIBAから声を掛けたことはほとんどなく、相手から傘下に入りたいと言ってきてくれた。そのため、自分達の企業文化を押し付けなくても、相手が企業文化を理解し、順応してくれる。ただし、M&Aの際は、相手の企業文化を尊重しながら、堀場製作所の企業文化を伝えている。
【質疑応答・意見交換】
- 社長に就任された当初、3年間の減収減益を経験されたとのお話があった。その際何を考え、どのように乗り越えられたか。
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大事だと思うことはしっかりやれ、と父に言われたことを覚えている。この言葉も受けて、自分の思いを叶えるためには、目の前の状況をしっかり見て、結果はともかく信念を貫こう、と考えて乗り越えた。
- 堀場製作所の従業員の方を「ホリバリアン」と呼ぶとのお話があったが、「ホリバリアン」の特徴は。
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学生が中心となってスタートした会社で、創業時から「尖っている」社員が多い。「尖っている」とは、自分の価値観を持って挑戦すること。手上げ制を採り入れ、自社での海外研修も手上げ制で実施しているほか、採用の際もなじみやすい人財だけでなく「尖っている」人財を採用する方針を社内で掲げ、「尖る」ことへの期待もしている。