6月6日(木)、D&I専門委員会は、日本経済団体連合会産業政策本部の堀内保潔本部長と脇坂大介上席主幹を講師に迎え、「外国人材の活躍推進に向けた現状と課題」と題した講演会および意見交換会を開催し、オンライン参加を含め約60名が参加した。
講演会では、日本における外国人労働者の受け入れ状況の解説の後、戦略的かつ積極的な誘致の必要性が指摘された。また、講師らは「外国人政策を検討する際には、データやエビデンス、諸外国の政策も考慮することが重要だ」と述べた。
続く意見交換会では、参加者それぞれが属する業界や立場での経験に基づいた質疑があり、特定技能制度や永住権などのあり方について活発な議論が交わされた。
【講演要旨】
日本における外国人労働者は年々増加し、2023年10月末時点で約200万人に達している。彼らは日本の安定的な経済発展において重要な役割を果たしており、2040年の政府目標GDPを達成するためには、現在の受け入れ方式では約42万人の外国人労働者が不足すると試算されている。
そのため、日本が「選ばれる国」となることが重要であり、国籍に関係なく人材が活躍できる環境を整備することが求められる。具体的には、縦割り行政ではなく省庁横断的な施策を効果的に連動させることが必要である。また、永住権の取得要件を現行の10年から5年に見直すことや、多様な家族関係への対応を行うなど、諸外国の状況を踏まえた見直しが求められる。
さらに、技能実習に代わる「育成就労」を定めた法改正案が2024年の通常国会に提出される予定であり、経団連からの意見が概ね反映されている。しかし、日本語能力の基準に関しては、エビデンスに基づく検討が不足している。今後、法改正の施行状況を見守りつつ、動向を注視していく必要がある。